そのあと僕の楽屋に、音響のIちゃんが来る。照明のO本さんが来る。
「じゃあ、本番よろしくお願いします」とひとこと言葉を交わすだけなのだけど、きっとみんなここまで共に準備してきた仲間として、本番前の緊張を共有したいのだろう。心が熱くなる。
本番前の楽屋。
前にも書いたことだけど、この楽屋にはモニターがない。たいてい楽屋にはステージあたりの映像が中継されていたり、会場内の音がスピーカーで聴けたりして、お客さんの入り状況とか、場内アナウンスなんかを楽屋にいながらにしてリアルタイムで知ることができる。そのどれもが無いからシーンとしている。これはこれでいい。本番前の精神統一には適しているかもしれない。
技術打ち合わせというのをここの会場スタッたちとしていたとき、会場の音響スタッフのひとりが、図面に描かれたステージ後ろのスピーカー群を見て「ん? これってもしかしてジョイさんのライブ? 」と叫んだ。彼はたまたま以前に別の立場で僕のライブにスタッフ参加していて・・・
13時からリハーサル。客席にいる僕のスマホ画面は12:30。まだちょっと早いけど、食事もしたし、今夜のイメージングも一応それなりにしたし、もう楽屋にいてやれることがなくなってしまったのだから・・・
食事をするために楽屋に入った僕。実はこの「I'M A SHOW」という会場は、以前映画館だったところ。その映画館をそのままあまり手を加えずにステージを作って劇場にし、去年の12月にオープンしたばかり。だから新しいけど、中は相当年季が入っている。映画館だったから、正式な楽屋というものがない。スタッフが行き来する広い廊下だったところに間仕切りをして、楽屋ふうな場所を急遽拵えたという感じ。一応、洗面台と鏡は横にながーく付けられていて、、、
ロビー奥の一般立ち入り禁止エリアの奥に神棚がある。芸能と呼ばれる世界の人たちは案外、験担ぎをする。僕もどちらかというとジンクスみたいなものを大事にしているし、ライブに向けて色々と験担ぎなんかをする。ライブ前までに300㎞走ると決めて三日前くらいにそれを達成した時に(あーもうこれで本番大丈夫だ)なんて、なんの根拠もつながりもないのに、実際に少しホッとした。
マリオン別館の一階からエレベーターに乗る。エレベーターの中にもポスターが貼られていた。迎えてくれたスタッフは仕込みの状況などを報告してくれる。みんなテンション高く動いている感じが伝わってくる。...
なんとなく…ふと、 ライブ当日の自分の記憶を辿りたくなってね。 6月30日朝。 前日から会場近くのホテルをとってもらい、宿泊していた。 前の晩は・・そうだな、12時前には寝ただろうか? 進行台本を眺めながら、とは言っても、ほとんどアドリブで進行していくライブなんだけど。...