ジョイという名を授けられた夜

 

人生にはいくつかの転機がある、と僕は思う。

 

ある出来事。

一冊の本。

一遍の詩。

一本の映画。

そしてもちろん

人との出逢い。

 

僕は12月12日生まれのある人と出逢って、いくつ目かの人生の転機を迎えた。

アメリカでの母親となってくれた人。  

JOYという名前は、そのアメリカの母、FRANにつけてもらった名前。

 

ほとんどの人は、ジョイという僕の名をニックネームか芸名くらいに思っている。

実はFRANは僕を養子に迎えてくれた。

その手続きを済ませた夜、夜景の美しいサンフランシスコのバーで、僕は正式にJOYという名前を授けてもらった。

 

私はこれからあなたをJOYと呼ぶわ。

あなたはいつでも周りをenjoyさせてくれるから。

それに、あなたと初めてランチした日、あなたは別れ際にハグしてくれて

『Thank you for the joy』と云ったでしょう。

すごく素敵な英語を使う子だなと思ったの。

今までの私の知ってる日本人はみんな『Thank you for your kindness』という教科書英語ばかりだったから(笑)」 

 

僕らは新しい名前に乾杯した。

JOYという名前をありがとう! と、僕は感謝を伝えた。 

すると、FRANは

いいえ、こちらこそ、JOY(喜び)をありがとう。

と返してくれた。

 

FRANに与えてもらったJOYという名が、僕の人生を変えたと言えるかもしれない。

いつまでも自分の周りに、JOYを与え続けられたらと、僕自身も思うようになっていた。

 

それが半径数十メートルの"周り"ではなく、その半径をどんどん広げていって世界中にJOYを広げたいと。

世界中の人たちがもっとJOY(喜び)のイメージを大きく持てるような何かをしていきたいと思うようになって今の自分がいるのかもしれない。

 

心からの感謝と、この想いを、天国にいるFRANに捧げる。